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CEOブログ -SPECIAL INTERVIEW 03 前編 – 上質とは、「人を感動させる」こと

川島製作所が上質を追求する企業となるために、各界の一流の方々から学びを得る対談企画・第三弾のゲストは、ファッションディレクターの干場義雅氏です。
『LEON』、『OCEANS 』など人気男性誌の創刊・編集に関わり、現在は『FORZA STYLE』の編集長を務めながら、さまざまな企業のブランドプロデュースや、ご自身が選び抜いたアイテムを並べるオンラインセレクトショップ「MINIMAL WARDROBE」を運営。一流のモノとヒトを知る干場さんに上質の定義や上質な企業に共通する哲学について、お話を伺いました。

川島製作所の営業担当のスーツは、干場さんが監修する「タカシマヤスタイルオーダーサロン」で仕立てたもの。作業着もすべてオリジナルで、こだわった自信作。伊早坂の想いは、「いいものを着て、ワクワクして仕事をしてもらいたい」。

本物、上質、美意識のヒントを得る

伊早坂:本日はお越しいただきありがとうございます。干場さんにぜひ、当社の工場や機械、従業員の姿を見てもらいたく、ご招待させていただきました。皆、楽しみにしていました。

干場:見学させていただきありがとうございました。とても未来的な工場ですね。
普段、何気なく手にしている商品が、このような洗練された機械で包装されていると知って、刺激を受けました。
毛織物の世界三大産地はイタリアのビエラ、日本・愛知の尾州、イギリス北部のハダースフィールドと言われていて、なかでもビエラにあるレダ社というメーカーが最新の工場でハイテクなスーツを作っています。それに似た雰囲気を川島製作所さんから感じ取れました。

伊早坂:ありがとうございます。当社は包装機メーカーとして100年以上の歴史があります。いま私が代表を引き継ぎ、次なる100年に向けてチャレンジしている最中です。
これから先も選ばれ続ける企業になるためには、新たな付加価値を持つ製品づくりはもちろんのこと、会社そのもののブランド価値を高めなければならないと思っています。

干場:私もさまざまな企業のブランドづくりのお手伝いをしています。ブランドは大なり小なり作れるものですが、一流となると明確なビジョンが必要です。より高みを目指すなら、一層高い目標を掲げてチャレンジしていかなければならないですよね。

伊早坂:おっしゃるとおりです。当社は、包装機械の技術革新だけでなく、包み・装う「包装全般」を手掛けるメーカーに進化するビジョンも持っているので、チャレンジの毎日です。そのなかで、どんな経営判断や方針を立てるにしても「本物」を目指すことは共通しています。その際、本物のモノづくり企業になるための土台となるのが、「美意識」や「上質」へのこだわりです。この2つのこだわりを追求していく先に、未来があると思っています。

干場:素晴らしいですね。共感します。ブランドと呼ばれる企業には、それぞれ違いはあれど、揺ぎない価値観や哲学がありますから。

伊早坂:そうですよね。とはいえ、本物、上質、美意識とは何か……。答えはひとつではないでしょうが、当社としての軸や定義をしっかりと持ちたい。そのヒントを得るために、さまざまな分野の一流の方のお話を伺って勉強してエッセンスを吸収したく、今回、干場さんとの対談を設けさせていただきました。
実は私、以前から干場さんの大ファンで、YouTubeやインスタグラムもほぼすべて拝見しています。ファッションだけでなく、人生観や人としての内面の魅力の大切さも含めて学んでいることが多くて、今日はそんな干場さんから直接お話をお聞きできるのでワクワクしています。

「そこまでやるか、をつぎつぎと。」は、世界標準の精神

伊早坂: 干場さんは、あらゆる現場で世界中の一流ファッションブランドを体験していらっしゃいますが、それらメーカーに共通する点はあるものですか?

干場:エルメスにしろ、ジョンロブにせよ、それぞれのメーカーによって哲学は違いますし、一言で言い表すのは難しいですが、川島製作所さんの企業理念でもある「そこまでやるか、をつぎつぎと。」の精神は、どのブランドにも共通していると思います。
「さすがだな」と思えるメーカーは、徹頭徹尾、「そんなところにまで!」と思えるほど目を配っていて、こちらを感動させてくれます。

伊早坂:やはりそうですか。以前、一流と呼ばれるあるお店でスーツを仕立てているとき、接客してくださった方から、「お直し5ミリつめましょう」と言われて、そんなところまで見てくれているのかと驚いた経験がありました。この人はすごいなと。そういう人がひとりいるだけでも、お店やブランドのファンになるものです。こういう感動を当社でも毎日のようにお客さまに提供したいと思っています。

干場:ブランドと認められることや、ファンになってもらうというのは、そういうことですよね。そのようなホスピタリティというか、お客さまやその企業のために何かしたいと自発的な行動ができる人間がいるかどうかは、ブランド足り得る企業のひとつの指標かもしれません。こうした理念浸透や、従業員の企業愛を醸成するのは並大抵のことではないですけれども。結局、根本は人なんですね。企業理念を体現できる人間が何人いるか、そんな人を生んで育てられるかが、企業の命題でしょうね。

伊早坂:おっしゃるとおりです。私もブランディングという形で社内外に情報発信をしていますが、それはあくまで手段で、根本にあるのは「人間大事の思想」です。これを経営の原点に据えています。私の最大の目的は、従業員との幸せの共有なんです。

干場:働いている人たちが楽しく過ごせる、気持ちよく働けている場が作れるかどうか。経営者に、従業員や顧客への愛があるかどうかが問われている時代ですよね。ブルネロ・クチネリ(注1)の「人間主義的経営」がまさにそうで、一緒に働いている人が一番大事という考え方です。極論を言うと、愛なんです。

伊早坂:従業員の幸せを考えたとき、もちろんお金などの物質的なものも大切ですが、働く喜びですとか、生き甲斐を感じてもらえる会社や職場をつくっていきたいと思っています。たとえば、イキイキと働くお父さんを見て、お子さんも川島製作所で働いてみたいと思えるような会社、地域の方から川島製作所は魅力的な会社だから一緒に働いてみたいと思えるような会社を目指しています。

上質とは、「人を感動させる」こと

伊早坂:冒頭でもお伝えしましたが、当社は「上質」をテーマとして追求していく企業を標榜しています。私なりの解釈だとひとつは、製品や従業員の対応から「共感できるこだわり」を感じられることが上質であろうと考えているのですが、「上質とはなんですか?」と問われたら、干場さんならどう答えますか?

干場:何を持って上質かというと、一概には言えないですが、これだけは確かだろうと思えるのは、「人を感動させる」ことです。たとえば、人を喜ばせることでもいいですし、楽しませることもそう。また、人を助けることができる企業や人は、かっこいいですよね。

伊早坂:本当そうですね。私も「かっこいい会社で、かっこいい従業員がいて、みながかっこいい生き方ができたら、こんな最高なことはないよね」と、よく従業員に言うんです。いまの干場さんの言葉から、かっこよさを体現するには「感動を目指す」という、より明確な行動指針を得ることができました。

干場:私の主戦場でもあるファッション業界でも、川島製作所さんのようなモノづくり業界でも、提供する出口こそ違いますが、人を感動させることを目指すのは共通だろうと思います。相手からもらった感動は覚えているもので、それを今度はお返しして感謝されたり。こうした感動の交換ができるきっかけを、まずは自分から発信できるようになりたいものです。

伊早坂:私の著作でも、幸せには「もらう幸せ」と「できる幸せ」と「与える幸せ」があって、なかでも「与える幸せ」が最も大切だと触れました。
まさに干場さんがおっしゃることもそうで、確認を得られたような気持ちです。

近未来的な雰囲気の新エントランスにて撮影。

【後編に続く】
後編では、川島製作所の「包装機メーカー」の枠を超えた、壮大な夢と挑戦について語り合います。無謀かもしれない話の先に見えるものとは……?

注1 ブルネロ・クチネリ
イタリアを代表する高級ファッションブランド。
創設者であるブルネロ・クチネリは、1953年カステル・リゴーネ(ペルージャ市)の農家に生まれた。1978年カシミヤを染める小さな会社を設立し、当初から「経済的倫理的な側面における人間の尊厳」を守る労働という理想を掲げる。1982年以来、ソロメオ村は彼の夢を実現する場所となり、人文主義者として、また企業家として、数多くの成功を生みだす工房となる。3年後、村の崩れかけた城を買取り、そこに彼の会社を置く。
2000年、会社の成長に伴う生産施設増設のためにソロメオ村近郊の工場を買い取り、改修。情熱を持ってソロメオ村の修復に取り組み、文化と美と出会い捧げる「学芸の広場」を建設する。2012年ミラノ証券取引所に上場。同年ソロメオ村に「職人工芸学校」創設。
その「人間主義的資本主義」によりイタリア国内外から数々の勲章や権威ある賞を受けている。イタリア共和国労働騎士勲章、ペルージャ大学哲学・人間関係倫理学名誉学位、キール世界経済研究所経済賞、イタリア共和国大十字騎士勲章など。
訳書に『人間主義的経営』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

干場義雅(ほしばよしまさ)
1973年東京生まれ。ファッションディレクター、『FORZA STYLE』(講談社)編集長。
雑誌『MA-1 』、『モノ・マガジン』、『エスクァィア日本版』などの編集を経て、『LEON』、『OCEANS 』など人気男性誌に創刊から関わり、“ちょい不良オヤジ”ブームをつくる。
2010年に独立し、株式会社スタイルクリニックを設立。船旅を愛する男女誌『Sette Mari(セッテ・マーリ)』の編集長を務めるほか、テレビ、雑誌、ラジオ、トークイベントをはじめ、ブランドプロデュース等でも幅広く活躍中。自身の好きなものだけを集めたオンラインセレクトショップ「MINIMALWARDROBE」と「SIMPLE-LIFE」も手掛ける。
インスタグラム@yoshimasa_hoshiba も人気。

撮影/山田崇博
文/クロスメディア・マーケティング

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