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物流まで変える! 環境時代に最適化する包装環境技術とは

川島製作所 ソリューション戦略室・阿部賢吉室長に聞く

SDGs・カーボンニュートラル対策事情と最新環境技術が切り拓く未来

消費者意識やマーケット環境の変化が今、大きな潮流として世界中に広がりを見せています。人々の環境意識はここ数年で急激な高まりを見せ、SDGsとして結実しました。エネルギーコストの上昇、差別化しにくい競争環境など、企業経営は外部環境から大きなプレッシャーを受けています。
どうすればこの劇的な変化を迎えた時代に、持続可能な成長を続けていけるのでしょうか?
川島製作所で包装機のこれからを考える包装ソリューション戦略室、阿部賢吉室長が、SDGsとカーボンニュートラルに対する川島製作所の対応や最新環境技術の進展、そして「食」のものづくり現場が抱える課題や未来を切り拓く、革新的な包装技術についてご説明します。


株式会社川島製作所 ソリューション戦略室 室長 阿部賢吉

物流まで変える! 環境時代に最適化する包装環境技術とは

包装でできる環境への配慮

>前回は、包装材によってできる環境への配慮に関するお話でした。プラスチックの包装材を紙に置き換えることや石油由来のプラスチックから植物由来、つまりバイオプラスチックへの転換によって、環境への配慮をしていく動きがあるとのことなんですよね。

阿部:そうですね。ただ、包装材を紙素材やバイオプラスチックへ転換した場合、従来のプラスチック素材と比べ、コストがかかります。例えば紙は、製造時に紙の水分を飛ばすために大量の“熱”が必要とされます。そしてそのエネルギー源のおよそ3割は、石炭が使用されているのが現状です*1。石炭の使用はCO2を発生させますから、代替燃料へと切り替える等の動きがないわけではありませんが、価格の安さや地域偏在性の小ささ等の利点が大きく、まだまだ石炭への依存度は高いんです。
ところが、石炭はほとんどが海外からの輸入に頼っており、2020年の日本の国別石炭輸入比率を見てみると1位がオーストラリアで68%、2位がロシアで15%でした*2。国際情勢による問題によって22年4月に、政府がロシアからの石炭輸入の段階的廃止を表明。製紙業界でもインドネシアなどロシア以外の国からの輸入に切り替える動きが出てきています。世界的な需要増にともない、代替産地の石炭の価格は急騰。石炭不足によって従来と同じように紙の製造が行えない企業もあり、紙の価格は高騰しています。

>包装材は、別々の機能を持つ複数の素材を貼り合わせてつくるんですよね。紙の場合、加工も大変なんじゃないかと想像します。

阿部:素材を貼り合わせる方法には、主に押し出し式ラミネートとドライラミネートの2種類があります。コストが安いのは押し出し式ラミネートですが、機能性を持つ素材を張り合わせる際の接着に、ポリプロピレンやポリエチレンとなどのプラスチック樹脂を使うことが多いんです。そうなると、脱プラスチックのために包装材を紙に変更するのに、紙素材にプラスチック樹脂を圧着しなければならないという矛盾が生じてしまいます。そのため、紙素材に機能を付加する場合、一般的には、ドライラミネート方式を使います。これは有機溶剤で溶かした接着剤を紙の表面に塗って乾燥させた後、圧着して機能性素材と貼り合わせる接着方法です。ただ、普通にドライラミネート加工をしようと思うと、接着剤が紙に染み込んでしまってうまくいきません。紙と機能性素材を張り合わせるドライラミネートは難易度が高く、日本国内で紙のドライラミネートができるところは少ないんです。プラスチックから紙へと包装材を変更する企業が少しずつ出てきたことで、この紙のドライラミネート加工は需要が急増し、順番待ちとなったり、価格が上がったりしています。

>プラスチックから紙への包材変更は、かなりコストが高くなりそうですね。かといってバイオプラスチックもやはりコスト高です。商品価格にも影響が出てきそうですが、消費者の中には「製品の中身や量が変わらないのに、包装が変わることで価格が上がるのはイヤだ」と考える人もいるかもしれませんね。

阿部:SDGsをはじめとする、環境への配慮はとても大切なことです。ただ、包装材を変えることを主軸にすると、どうしてもこれまでよりも原価が高くなります。「環境に配慮するために商品価格を上げました」となった場合、どれだけの人が買ってくれるのか……。多くの人は、SDGsには賛同するものの、実際に価格が上がってしまうとその商品を買わず、もっと安価なものを選ぶ傾向にあります。そのため、紙もバイオプラスチックもなかなか広まっていかないのです。

>とはいえ、気候変動の問題には取り組んでいく必要がありますよね。

阿部:そうです。ただ、日本はここ何十年もずっとデフレの状態が続いています。とにかくコストダウンしないといけない。その中でいかに利益を出していくか——。企業は多くの努力をしてきています。そうして取り組んできたことの一つが、「包装材を薄くする」ことなんです。

>包装材を薄くして、プラスチックの使用量を減らす取り組みは、コストダウン施策として現在行っていることですね。

阿部:そうです。今、包装材は、これ以上薄くすることはできないという極限まで薄くなっています。では次にプラスチックの使用量を減らすために、どうするのか。ここで検討されてきたのが、「袋を小さくする」ことなんです。

*1 紙パルプ産業のエネルギー構成2019年/出所:経済産業省「石油等消費動態統計年報」
【参考】
紙パルプ産業のエネルギー事情 2020 年度版(2019 年度実績) P3
紙パルプ産業のエネルギー構成 2019 年
出典:経済産業省「石油等消費動態統計年報」、作成:日本製紙連合会
https://www.jpa.gr.jp/file/release/20210225034339-1.pdf

*2 日本の国別石炭輸入比率/出所:JOGMEC
【参考】
日経新聞 2022年4月8日 19:21 記事参照
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC251NL0V20C22A3000000/

◆第5回石炭ブリーフィングP9
日本の国別石炭輸入量の割合(2020年)
https://coal.jogmec.go.jp/content/300373354.pdf

◆財務省貿易統計より作成
http://www.ene100.jp/www/wp-content/uploads/zumen/1-2-4.pdf

製品にピタリとフィットさせる包装技術

>袋を小さくするには、どんな方法が考えられるのでしょうか。

阿部:主に2点あります。一つが、袋の口を閉じている糊代部分を細くして袋全体のサイズを小さくすること。そして、もう一つが、袋に製品を入れる際に、余分なスペースを少なくすることです。
 糊代部分を細くすることに関しては、どこの会社の包装機でも取り組んでいて、当社でも対応しています。接着が離れて袋の口が空いてしまわず、かつ開くときに開きやすさを阻害しないギリギリの幅を見極め、閉じるようにしています。

>2点目の、余分なスペースを少なくするというのは、中に入るものの大きさや量は変えずに、より小さい袋にぴったり入るようにするということでしょうか。

阿部:そうです。動いているライン上で製品を次々と袋に入れるという包装機の構造上、包装する食品と閉じ口との間に、どうしても隙間が生じます。この隙間をどこまで狭くできるか——。当社では、研究を重ねた結果、ぎりぎりのところで口を閉じることができる独自の新技術を開発しました。例えば、横から製品を入れて包装する「横ピロー包装機」では、“エンド2段綴じ”という方法で、包装フィルムを前に進める動きとカッターとが別々に動くようにすることで、中の商品を奥にギュッと押し込みながら圧着し、製品をより深く袋に押し込めます。そうすることで袋と製品の間に余分な隙間を生じさせず、商品にピッタリ合ったサイズで包装できるのです。  また、縦ピロー包装機は、商品を上から入れて口を閉じるものですが、袋状にした包装材をほんの少し下方向に押すことで袋のマチを広げ、商品を下に沈み込ませます。そうすることで商品と閉じ口との距離を短くします。

>商品を押し込んだり、沈み込ませたりすることで、袋と商品との間の余分な隙間を少なくするんですね。隙間がなくなれば、商品が袋の中で動くこともなくなるんじゃないかと思います。割れやすいおせんべいやクッキーなどの包装にも向いていますね。

阿部:実際、軽くて移動しやすい“おかき”などは、袋に隙間があると、陳列する際に製品が下に沈んでしまって包装の下側が膨らみ、陳列しにくく割れやすくなってしまいます。これまでは、個包装したものをさらにプラスチックのトレーに並べることで下側が膨らんでしまうことを避けてきたのですが、SDGsを意識した減プラスチックの一環で、トレーをなくそうという声が挙がっています。新しい包装機であれば、余分な隙間なく包装できるため、トレーがなくても製品が沈み込んだりせず、綺麗に陳列できます。

>これまでも、製品を奥に押し込むことができる機械はあったんですよね。

阿部:袋をつくり、そのなかにバーを使って製品を押し込んでいました。でも、バーで押し込むということは、押し込んだバーをもとに戻す作業が必要で、その分時間がかかります。小さく包装はできるのですが、包装スピードがとても遅くなってしまうというデメリットがあった。このデメリットを解消すべく生まれたのが、今回の“2段閉じ”なのです。

包装が変われば物流が変わる

>隙間なく製品にピッタリ合った包装ができると、袋のサイズをこれまでより小さくできます。包装材がプラスチックだったとしても減プラが実現できますし、紙やバイオプラスチック等の包装材であれば、包装材の総量が減りますからコストダウンにもなりますね。

阿部:その通りです。でも、包装材をコンパクトにするメリットはそれだけではありません。
袋が小さくなるということは、全国の販売店に発送する際の段ボールも小さくできます。また、箱のサイズを変えない場合、より多くの製品を箱に詰めることができる。つまり、今までよりも一度に運べる量が多くなるのです。商品の輸送は、通常“パレット”という四角い台の上に製品の詰まった段ボールを乗せ、それをトラックで運びます。このパレットには規格があり、サイズが決まっています。乗せる段ボールのサイズが小さくなれば、よりたくさんの段ボール積むことができるんです。

>つまり、例えばこれまで1つのパレットに12箱積んでいた場合、16箱積めるようになる。一度により多くの商品をスーパーなどの販売店に運ぶことができますね。

阿部: 3回で運んでいたものが2回になれば、輸送コストが削減されるだけでなく、トラックの移動距離も減り、トラックから排出される二酸化炭素の排気量も削減できます。

>確かにそうですね。「袋を小さくする」というと、包装に使っているプラスチックの使用量が減るというイメージのみが先行しがちですが、それ以上に、物流のスリム化にも貢献しているということなんですね。

阿部:はい。包装を小さくすることは、包装材のコストを下げ、輸送コストを下げ、排出される二酸化炭素の量を減らすことができます。でも、現状では、ほとんどの包装機メーカーが、商品サイズありきで包装の寸法を決めています。今後は、より輸送コストをかけないためにどうすれば効率よく運べるのか、どんな箱でどんな積み方をすればいいのか、それを実現するためにはどの大きさの袋に入れればいいのかを考え、「多少きつくてもそのサイズの袋に入れたいよね」というお客様の要望にも応えられるような包装機をつくっていきたいと考えています。
また、現在物流業界では運び手が足りない状況が続いています。そのため、運搬効率の向上と、人の手を極力必要としない輸送方法、たとえばドローンなどの使用も検討される可能性があります。

>すでに宅配便でドローンを試験的に使用するというニュースもありましたね。

阿部:まだ実用段階ではありませんし、今後どうなるかはわかりません。でも、もし本格的に運搬にドローンを使うとなれば、効率よくドローンで運ぶための包装が必要なはずです。物流までをトータルに考えることで、新たな包装の可能性を切り拓けるのではないか、そう考えています。

(続く)

公開済みの記事

Vol.01:SDGs・カーボンニュートラルへの取り組み「待ったなし」、いかに消費電力を抑えるか

Vol.02:環境対応包材の最新取り組み状況と商品ブランドを高める最先端包材の実力

今後の掲載予定

Vol:04:ものづくりを変える包装技術の未来〜 あなたの未来はこう変わる!


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■Company Profile
株式会社 川島製作所
所在地 埼玉県草加市谷塚上町434
TEL 048-925-1573
創業 1912年
資本金 1億円
従業員数 247名(子会社含)
https://www.kawashima-pack.co.jp/

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